猫に散歩は必要? ハーネスに慣れさせるメリットや装着を嫌がる場合の対処法

犬を散歩させる際の必需品としてハーネスがありますが、ペットショップなどでは猫用のハーネスも販売されています。「猫もハーネスをつけて散歩に行くの? 」と首を傾げてしまう人もいるかもしれません。今回は猫にハーネスを装着するメリットと、装着を嫌がる場合の対処法について解説します。

  • サムネイル: ひなた ふゆみ
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監修:ますだ動物クリニック 増田国充院長

そもそも、猫に散歩は必要なの?

近年では、猫の完全室内飼いが一般的になりました。完全室内飼いは、事故やほかの猫との喧嘩、感染症などのリスクを軽減できる反面、狭い室内での運動不足や、それに伴う肥満が問題になることも。散歩は、そうした猫のストレスや運動不足の解消に効果的です。

ただし、猫が外へ行きたがるのは、自分のなわばりを確認するためです。ストレスや運動不足の解消に散歩を必要とする犬とは違い、基本的に猫は屋外を散歩する必要がないということを覚えておきましょう。

一度も外へ出たことのない猫は、猫自身も望んでいないため、無理に連れ出す必要はありません。もともと外飼いしていた猫を室内飼育に切り替えた場合や、野良猫を拾った場合など、猫がどうしても外に出たがる場合に検討してみてください。

また、猫にとって外の世界は危険がいっぱいです。もしかしたら、散歩の最中に野良猫と遭遇して、細菌やウイルスをもらってしまうかもしれません。そうした感染症のリスクを避けるためにも、ワクチン接種のほか、ノミやダニの予防も行っておきましょう。

そのほか、警戒心の強い猫は、突然の音やアクシデントに驚いてパニックを起こすことがあります。散歩中の事故や迷子には、くれぐれも気をつけましょう。また、万が一屋外で迷子になってしまった時のことを想定して、迷子札の装着やマイクロチップの埋め込みなども検討しておく必要があります。

首輪とハーネスの違い

ハーネスと同様に、飼い主と離ればなれになることを防ぐアイテムとして、首輪があります。犬の場合は、使用する目的や犬の年齢・体調などによって首輪とハーネスを使い分けますが、猫の場合は首輪よりハーネスを使用するのがおすすめです。

首や呼吸器に負担がかかりにくい

ハーネスとは、犬や猫の胴回りに装着する「胴輪」のこと。もともとは、犬ゾリを引く犬用に作られたもので、荷物を引く時に「首や呼吸器に負担がかからないこと」、「荷物を引っ張りやすいこと」を重視した構造になっています。

ペットを散歩させる時によく使用するものとして首輪がありますが、首輪の場合、犬や猫が急に動いた時や、飼い主から離れてしまった犬や猫を引き戻す時に、すべての負担が首の一点にかかってしまいます。

一方、ハーネスの場合は、上半身の広範囲で犬や猫のカラダをホールドするため、首や呼吸器にかかる負担を大幅に軽減することができます。

抜けにくい・外れにくい

ハーネスを装着するメリットとして、首輪と比較して抜けにくい点が挙げられます。猫の頭は小さく、カラダもやわらかいので、首輪のサイズをしっかり調節したつもりでも、何かのはずみでスルッと抜けてしまうことがあります。とくに屋外では、猫が車の音や犬の吠え声などに驚いてパニックを起こし、その場から逃げだそうと暴れてしまう可能性もあるので危険です。

かといって、首輪をきつく締めすぎてしまうと、猫のカラダに大きな負担をかけてしまいます。猫の首は犬と比較して弱いため、少しの衝撃で脊髄や呼吸器を損傷してしまうことも…。その点、腕を通し、胴回りに装着するハーネスには、猫が抜けだしづらいというメリットがあります。

ハーネスは緊急時にも有効なアイテム

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上述の通り、猫にとって散歩はリスクの高い行動です。しかし、猫を散歩に連れ出す予定がないとしても、ハーネスは様々な緊急時に役立ちます。

たとえば、猫を病院へ連れて行く時、ケージの扉が開いたタイミングでの脱走を防ぐため、ハーネスをつけておくと安心です。さらに、地震や水害など大規模な災害が発生し、猫とともに避難しなければならない時も、ハーネスをつけることで、愛猫と離ればなれになってしまうリスクを回避できます。

猫を散歩に連れて行かない場合でも、万が一の事態に備えて、ハーネスの装着に慣れさせておきましょう。

猫がハーネスを嫌がる理由

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とはいえ、実際ハーネスを装着しようとすると、嫌がる猫がほとんどです。猫には、ハーネスが自分の身を守る大切なアイテムであることなど理解できません。正体のわからないものをカラダに付けられれば、嫌悪感や警戒心を抱いて当然です。

中には、ハーネスを付けた途端に一歩も動けなくなってしまう猫もいます。とはいえ、万が一の事態に備えてハーネスに慣れさせたい飼い主としては、どうすれば猫がハーネスを嫌がらないようになるかを考えなければなりません。

上手にハーネスをつけるには?

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猫のハーネスに対する拒否感を軽減するためには、少しずつ慣れされるほかありません。できれば、仔猫のうちからハーネスをつける練習をするのがよいでしょう。猫に過剰なストレスを与えないためにも、できるだけ早くから慣れさせることが重要です。

室内でハーネスに慣れさせる

まずは、猫がいる室内にハーネスを置くところから始めましょう。猫がハーネスの存在に慣れる前に、いきなりカラダに装着してしまうと、ハーネス自体を怖がって嫌いになってしまうこともあります。充分な時間をかけて、ハーネスに対する嫌悪感や警戒心を解いてあげてください。

次に、ハーネスを短時間装着し、すぐに脱がせることを繰り返します。最初のうちは一日に数回程度でよいので、少しずつハーネスを装着することに慣れていってもらいましょう。

ハーネスを着たまま過ごす

猫がハーネスの着脱に慣れてきたら、しばらくの間、ハーネスをつけたまま過ごしてみましょう。ハーネスを装着した状態で抱っこしてあげたり、エサを与えたりして、猫がリラックスできるように心がけてください。

抱っこして外へ出る

猫がハーネスを装着したまま過ごすことに慣れてきたら、必要に応じて外へ連れて行きましょう。この時の目的は、猫に散歩に慣れてもらうことではなく外の世界に慣れてもらうことを重要視します。あまり怖がる様子を見せなければ、地面に降ろしてあげても構いません。

最初のうちは、人通りや自転車などが少ない道を選び、あまり遠くまで出かけるのは避けましょう。猫に地面を歩かせる場合は、猫のペースに合わせてゆっくりと歩き、気長に見守ってください。

猫にとってハーネスは、散歩や有事の際に役に立つアイテムです。猫が嫌がることなく装着できるように、少しずつ慣らしていきましょう。

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