犬の認知症|考えられる原因や症状、治療法と予防法について

医学の進歩により、犬も長く生きられるようになりました。元気で過ごせるのであればいいのですが、高齢化によって認知症に似た症状を見せる犬も増えてきています。犬の認知症は予防が一番大切ではあるのですが、もしなってしまっても正しい対処で付き合っていきましょう。

  • サムネイル: ひなた ふゆみ
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監修:ますだ動物クリニック 増田国充院長

犬が認知症になる原因

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犬の認知症は「認知機能不全症候群」というのが正式名称で、老化により脳機能が衰退し、認知機能が低下してしまうという病気です。犬が高齢になると、動作や視覚・聴覚が衰えてくるのですが、認知症を患うとそれらに加えて感情表現がなくなったり、今までできてきたトイレができなくなったりするなど、脳の障害による症状が出てくることがあります。

犬が認知症になった時の症状

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犬が認知症になると、以下のような症状が見られます。

歩き続ける

犬の認知症の特徴として、同じ場所で円を描くようにぐるぐると歩き回るというものがあります。高齢になると犬の足腰は衰えてくるので、ゆっくりしか歩けないのですが、目的もなく何時間も歩き続けます。そして、テーブルや椅子の角にぶつかったり、物のすき間に入ったりすると、身動きが取れなくなってしまいます。

このような症状が出て来た時には、無理に歩くことをやめさせるのではなく、ずっと歩いていても身動きが取れなくならないようなスペースを作ってあげることが大切です。マットを敷き詰めた円形のサークルを作り、その中を歩かせるようにすると、犬はストレスなく歩き続けいつの間にか眠ってしまいます。

食べ続ける

犬は歳をとると食欲は減退していきますが、認知症を患うと与えた分だけ食べ続けるようになります。今まで嫌いだったものも食べてしまいますが、太ることも腹痛を起こすこともありません。とはいえ、食べ物の与え過ぎはバランスがよくないので、認知症が原因で食欲旺盛な犬には1日全体の食事量は変えずに、食事回数だけを増やすようにしましょう。

昼夜が逆転してしまう

認知症を患った犬は、昼夜が逆転してしまい、昼間に寝て夜に起きているという症状が出ます。夜中にずっと吠え続けたり、歩き回ったりするので、飼い主の体調にも影響が出かねません。そこで、昼間になるべく起きているように声をかけたり、カラダを動かしたりして刺激を与えます。また、昼間は日光を浴びさせることで体内時計を正常に戻すようにします。

吠え続ける

犬の認知症で一番大変なのが、吠え続けることです。原因がはっきりしている場合(上記の身動きが取れない場合や、気に入らないものが目の前にある場合など)は、その原因を取り除けばよいのですが、老化により自分のカラダを思うように動かせない時や、単純に寂しい時にも吠え続けます。この場合は、飼い主がやさしくコミュニケーションを取って落ち着かせてあげましょう。

躾を含むもの忘れ

犬が認知症を患うと、しつけたことも忘れてしまいます。給水器の場所やトイレの場所を忘れてしまったり、自分の名前や飼い主のことさえ忘れてしまったり…このような場合には、再度しつけるというわけにはいかないので、どこでトイレをしてしまってもいいように部屋中を常に清潔に保つことが大切です。飼い主が外出する時は、ペット用オムツを使用することも検討しましょう。

犬の認知症の治療・予防方法

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人間同様、犬の認知症も放置しておくとどんどん進行してしまいます。今のところ特効薬はありませんが、しっかり管理することで発症を予防したり、症状の進行を遅らせたりすることは可能だといわれています。また、DHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)などの脂肪酸が含まれたサプリメントが、脳神経細胞を活性化させるという働きがあることから、犬の認知症予防に使用されることがあります。

認知症の予防には、刺激を与えることが大切だといわれています。この刺激とは、毎日の散歩だったり、幼少期に行っていた躾の動作を繰り返したりするといった簡単なものです。この簡単なコミュニケーションでも、認知症になるかならないかの犬にとっては刺激になり嬉しいものなのです。

また、認知症の犬は体温調節がうまくいかなくなるので、温度管理は必須です。このように、認知症を患ったとしても、コミュニケーションを取り続けることが大切なのです。

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